Wednesday, December 12, 2007 12:24 AM
「ヴォイス」
1929年生まれアーシュラ・K・ル=グウィンの、
2006年に書き下ろした作品"Voices"邦訳を読んだ。
ル=グウィン作品の「ゲド戦記」は有名だが、
彼女が年齢を重ねるにつれ溢れだしてくる、
人が生きることについての洞察が、
色濃く物語の中に現れている。
死と生と賢さと愚かさが交差しながら、
ずっと以前から存在していた英雄物語を読むような感じだ。
この感じは訳の素晴らしさもあると思うが、
やはりル=グウィンの特異な才能によるところが大きい。
暴力と無知と信仰と勇気の物語でもある。
戦争が日常から遠ざかった国の大人の読むべき本。
創造性、継続性、クオリティー。
尊敬するル=グウィンの素晴らしい仕事。