Friday, December 15, 2007 2:20 AM
「理論は正しかったが」
「平和に対する罪」で処刑された日本人がいたことを、
私はこの本を読むまで知らなかった。
漠然と何かあるとは感じていたけれども、
あえて知ろうとはしなかった。
何によって知ることができるか探すこともしなかった。
「平和に対する罪」とはいかなる罪であろうか。
勝者が敗者を裁く場合、
人が人を裁くときと違った力が発生するようだ。
勝者が敗者以上に罪深かった場合、
物語を捏造するプロセスを必要とするようだ。
正義の名の下で悪や敵と名を付け、
沢山殺した人間の恐ろしさを感じる。
本文中はじめに出てくる、
「理論は正しかったが、戦争に敗れた」の言葉が印象的だ。
正義とは関わりのない欲望と武力を背景にした暴走の歴史が、
今なお進行していると感じる。
新たな秩序へ向かって世界が変化する時代、
歴史を顧みることの重要性を感じさせる。
非常に考えさせられた一冊。
「日米対戦の真実」大川周明著『米英東亜侵略史』を読み解く
佐藤優/大川周明 著