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Saturday, January 05, 2008 11:58 PM
「知の体験」


月面の地平線から昇る地球の映像を見た。
日本初の大型月探査機、
月周回衛星「かぐや」のおくってきた映像である。
長い歳月と多くの人と資材が投入されたプロジェクトだ。
月には大気と呼べるほどの気体が存在しない。
映し出された映像は月面の手前地表から地平線までとてもクリアだ。
大気がほぼ存在しないから遠くの物まで霞まない。
月面から地球までの距離感を相対的な大きさでしか掴むことができない。
アポロ計画によってもたらされた映像と違って月が冷たく硬い感じがする。
アポロ計画がアメリカの国の威信を懸けて行われたことと比べ、
「かぐや」の計画は日本の国の威信を懸けている感じがあまりしない。
日本人の生活にもたらされる恩恵をプロジェクトの推進力としていないようだ。
このプロジェクトによって謎に迫る手がかりを得るだろうし、
新たな謎を得るかもしれない。
このプロジェクトが、研究の為の純粋なものであるならば、
知りたい、見たいという、根元的な欲求に従って行われた偉大なプロジェクトだと思う。
先端科学を駆使し、始めて得ることができた「知の体験」そのものが偉大な財産である。
現実の認識を変える存在は偉大である。
先端科学の観測や実験は壮大なアート作品かもしれない。


 
   
 
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