Thursday, January 13, 2011 12:09 AM
「水平線と私」
浜辺をひとり歩いていた。
小一時間ほど人を見ていない。
自分の手足が視界の周辺を、
規則的によぎりるのを感じながら、
短い自分の影だけが唯一の人の気配だった。
波打ち際に沿って歩きながら、
右手に広がる水平線を見続けていると、
自分の体の存在が薄れ消えゆき無くなってゆく。
人のいない空間を、
ゆっくりと移動しながら、
目だけが存在し眺め続けている感覚になる。
足下の、
数時間前まで波打ち際だったそこは、
規則的に海へ向かってなだらかに傾斜している。
水平線は、
ずっと動くこともなく、
同じところに静止しているようだ。
波と私の視点だけが、
ゆっくりと一定方向に移動している。